大叙情詩“ラーマキエン”
主人公“ラーマ王”はヴィシュヌス神の化身で、「神王思想」のもととなる神話です。恋愛、愛欲、嫉妬、闘争、別離、邂逅など様々な場面を壮大な世界で奇想天外な表現で描いた物語は、文学的な評価だけではなく、現実の人間社会の反映としても親しまれています。
特にワット・プラ・ ケオの回廊を飾る壁画が壮観で、物語の178場面が描かれています。またワット・ポーにある152枚の大理石の浮き彫りも見事です。なお、ワット・プラ・ ケオの回廊を飾る壁画の一部が「アート・ギャラリー」にあります。
南タイに伝わる影絵芝居の語りに始まったのが起源とされ、アユタヤ王朝のタークシン王が加筆し、1789年にラーマ1世が集大成し全訳を完成しています。その後ラーマ2世が今の仮面舞踏劇「コーン」「ラコーン」の戯曲として執筆しています。
スコータイ王朝の「ラームカムヘン王」、アユタヤ王朝の初代王「ラーマーティボディー王」の、“ラーマ”に“ラーマキエン”の主人公“ラーマ王”はタイの歴代王朝にとって理想の王とされ、それにちなんで現王朝の歴代王も“ラーマ”の称号がつけられています。
大叙情詩“ラーマキエン”のおおすじ
陰謀によって追放されたラーム王子と妃シーダ、弟ラックは森で隠遁していました。シーダに想いを寄せた羅刹王トサカンは、マリートを黄金の鹿に化けさせラームたちをシーダから引き離します。そして、トサカンにシーダを誘拐されたラームは救出へと向かうこととなります。
ラーム王子は、ロンカー島へ攻め込むために、猿たちに島までの道を作らせました。しかし、海を支配する魔王トサカンの娘、人魚マッチャーの妨害でうまくいきません。 そこでハヌマーンは、海に潜って彼女に求婚し、妻にしてしまいました。そして、魚族も味方に付け、島までの道を完成させる事ができたのです。
猿軍の援助を受けたラーム王子たちは、ロンカー島に渡り、魔王トサカンと激しい戦いを続けることとなります。
激戦の末、ラーム王子の放った矢が魔王トサカンを倒し、シーダを救出したラームは、アヨティヤーへ帰還することとなります。
キンナリーという半人半鳥の天女「マノーラ」が捕らえられ、ストン王子に贈られました。 すると王子は「マノーラ」に魅せられ、彼女を妃とすることとなります。 しかし、王子の不在中に、父王が悪夢を見ます。そこで夢判断をしたところ、「マノーラを焼き殺さないと王様の命は無い」との判断がなされました。
処刑されることとなった「マノーラ」は、最後に王子との別れに舞を舞いたいと、取り上げられていた翼の返還を求めます。そして、返された翼を着けた「マノーラ」は、天高く飛び去っていったのでした。
天女メーカラーが美しい宝石を手に遊んでいると、そこに魔王ラーマスラが現れます。宝石の美しさにひかれた悪魔は、それを我が物にしようと、天女に襲い掛かかります。しかし彼女は、宝石から光を放ち、目をくらませて逃げてしまいます。怒った悪魔は、斧を投げつけますが外れてしまいます。
この宝石の光が稲妻であり、そして、外れた斧が地面に刺さった時の音が、雷の音だと言い伝えられています。
タイの伝統文化関連サイト
●ラーマキエンを日本語に翻訳している音楽家の福田さん
●タイ伝統人形芝居を紹介(タイ語・英語)